『陽斗くんと連絡先交換できたのが嬉しくてはしゃいじゃっててごめんね』
『いっぱいメッセージ送ってウザかったよね?』
バイト終わって部屋に帰りついてからスマホを見てみると、そんなメッセージがあったので思わず首を傾げてしまう。
ウザかったとは、なんのことだろうか?
そう思われることはあっても、こちらが思う筈がない。
でももしかしたらこれを機にメッセージのやり取りを止めたいという囁かなアピールなのかもしれない。
『こちらこそなかなか返信できてなくてごめんなさい』
『メッセージのやりとりあまりしたことなくて、苦手なんです』
正直に言ってしまえば、向こうも止めようって言いやすいかもしれない。
なんかずっと付き合わせて申し訳ないホント。
秋元さんとのメッセージのやりとりは嫌いではない所か話が面白いし好きなのだが、如何せん自分の返信が………
『ごめんね、付き合わせて』
『でも陽斗くんと仲良くしたいから』
『これからもメッセージ送りたいけどやっぱり嫌かな?』
『迷惑?』
勢い良く飛び込んでくる、いつものメッセージの量よりは少ないメッセージ達。
仲良くしたいって、本気なのだろうか?
食堂では友人だと言われたけれど、アレもどういう意味が分からない。
『迷惑ではないです』
『寧ろ返信遅くてこちらの方が迷惑かけてますよね、ごめんなさい』
面と向かって言うのは言い辛いけれど、でもメッセージだとなんてことなく送れてしまうのが不思議だ。
だからこそ、変なこと言わないようにと何度も何度も文面を確認してしまうのだけれど。
『遅くても気にしないよ』
『返信してもらえるだけでも嬉しいから』
そういうものなのだろうか?
確かに俺は秋元さんから返信もらえたら嬉しいけど、秋元さんも本当にそうなのか?
でももしそれが本当だとしたら、それはとても嬉しいことだ。
『それでも大丈夫なら』
『秋元さんが宜しければ、こうして話がしたいです』
………うん、送ってしまったし既読が付いてしまったから諦めるがなんだこの文面。
乙女かよ。
気持ち悪いなと我ながら思う。
思わずベッドに突っ伏して、悶々と後悔する。
しかもさっきまで秒で返ってきてたのに、未だに来ないのが羞恥心に拍車をかけてくる。
いっそ送信取消してみるかと悶えていた時、漸く新着メッセージを報せる通知音が鳴った。
『俺も陽斗くんと話したいし』
『できれば名前で呼んでほしいんだけどダメかな?』
痛め続けていた恋心が、僅かに軋む音がした。
モテる人って、多分誰に対しても同じ態度だからモテるんだろうなって納得してしまう。
まぁそもそも友達としてあろうとしてるのに、俺が苗字にさん付けじゃ不自然だな。
そういうことだ、うん。
『ありがとうございます、燎平さん』
あんなイケメンに君付けは無理に決まってるだろ!
ハードル高過ぎだよ!
悩みに悩んで、結果その一言とスタンプだけを送って一息を吐いた。
やり遂げた感が凄い………。
なんだかたったこれだけで無敵になれた感も強すぎて、調子に乗らないように気を付けないととグッと拳を握って気合いを入れる。
そういえば、彼と仲良くなった当初もそう決意してたのになとふと思い出した。
「………大亮くん。」
ポツリと呟く、俺が恋をしてしまった【友人】の名前。
彼は今幸せだろうか。
大好きな人。
今でも恋をしている人。
俺が嘘を吐き続けてしまって、最後の最後で逃げ出してしまった人。
もう会うことはないから、思い出すことは許して欲しい。
『嬉しい!』
『ありがとう陽斗くん!』
猫のキャラクターが喜んでいる可愛いスタンプと一緒に、新着メッセージが届く。
今度こそは、間違えないようにしよう。
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