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結局起きたの何時だと思う?
朝6時。
マジかよ寝過ぎだろ………トータルすると普通に一日分寝たわ。
流石に頭痛てぇ………
風呂入ってねぇから身体すげぇベタつくし、そもそも水分を取ってないから口の中がベタつくしカラッカラだ。

「康介、起きろ。」

出ている声もカサカサで、声を出すのも辛い。
ここまで寝たのとか冗談抜きに産まれて初めてなんだが。
乾いた咳を何度もしながら、恐らく同じ状態になっているだろう康介を起こす。
案の定というか、ゆっくりと目を開けた康介の目は真っ赤に充血していた。

「おはよ………けほっ………」
「はよ。取り敢えず、歯ぁ磨くか。」

俺と同じように乾いた咳をしながら、康介は起き上がって小さく伸びをした。
まだ頭がぼんやりとしているのか目を擦る康介の手を引いて洗面所へと向かいながら、
昨日想像していた朝とは全く違うぐだぐだっぷりにうんざりとしてしまう。
なんかもうちょっとこう………イチャつきながら起きたかった。
ウトウトとしながら俺に手を引かれて歩く康介は可愛いんだけどな。

「といれ、さきいく………」
「良いぞ。歩けるか?」

フラフラとしたままの足取りで頷くから、心配になってしまう。
俺もトイレしたいし。
結局トイレにも手を引いたまま連れて行ったものの、終わってもまだ眠気か引かないのか船を漕ぎながら出て来た。
普通に危ねぇな。

「終わるまで待ってろ。洗面所一緒行くぞ。」

変に抵抗されて転んで怪我されても困るから、俺からのお願いという体でトイレの前で待たせることにする。
出て来た時には扉の横で三角座りして寝てたから、マジで俺良い判断したと思ってる。
2分から3分位しか経ってねぇのに、寝るか普通。
あのまま歩かせてたら普通に廊下で寝てたな、コイツ。

「起きろ康介。冷えるぞ。」
「んんっ、おきてる………」

起きてねぇのよ。
脇に手を差して無理矢理抱き起こしながら、俺はこれ見よがしに溜息を吐いてズルズルと引きずって歩く事にした。
洗面所とトイレは真隣だから、そんなに負担じゃない。

「ほら、立て。歯磨きするぞ。」
「んん………ん………」

康介用に買っておいた新品の歯ブラシを開けてやって渡す。
多分開けるのもままないだろうなと思ったら案の定、受け取った後は何も動くことなくまた船を漕ぎ出した。

「ほらもう寝るな。歯ァ磨け。」

無理矢理に歯ブラシを握らせて、軽く肩を揺する。
そうすると漸くうっすらと目を開けて、自分から蛇口を捻ってなんとか歯ブラシを濡らし始めた。
偉い。

「歯磨き粉、これしかないけど大丈夫か?」
「どれでもへーき………」

いつも使ってる歯磨き粉を歯ブラシに乗せてやれば、えっちらおっちらという感じで歯を磨き出す。
うん。
もう大丈夫そうだな。
つまんねぇの。

とはいえ、俺の家で二人で洗面所で隣合って歯を磨くという行為は、
正直今までの彼女ともやってきたがここまで緊張するもんだったろうか。
同じタイミングでうがいして、同じタイミングですすぎそうになったからちょっとズラして、同じタイミングで歯ブラシ立てに歯ブラシを立てる。
意識してやった訳じゃない、そんな偶然がこんなにも愛しく感じるのか。

「おはよう、耀司くん。」
「おはよう。漸く起きたか。」

改めて挨拶して、ちょっとからかって。
そんなの今日が初めてなのに、まるで今まで同棲してたかのように自然と出来た。
今度は康介の方が俺の手を握って、リビングの方へと歩き出す。
まるでそうすることが正解だと言わんばかりに。

「漸く起きた。お詫びにご飯作ってあげる。」
「じゃあこの間のおにぎり。」
「米ある?」
「無い。」

無理難題とはこの事か。
そんな俺の言葉に、康介は怒る訳でもなく寧ろ楽しそうに声を上げて笑った。

「まだ朝早いし。コンビニ行って米買ってさ、お米炊いて作ろうか。」
「ああ。近くにあるし、歩いて行くか?」

手を繋いで、お前とふたりで



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